谷地三十三観音の根際観音

観音信仰はかつて、地蔵信仰とともに、特に既婚の女性に流行したそうです。

しかし、いくら信仰のためといっても遠くまで出かけるというわけにもいかず、地元に遠国の三十三観音を勧進したり、近くにあるお堂や寺などを選定して最上三十三観音や西国巡礼と同じ功徳を得ようとする方法も取られるようになったそうです。


この信仰により、近世末期に谷地三十三箇所の巡礼札所が生まれたのだそうです。

また、谷地三十三観音にはそれぞれ独自の御詠歌があるのだそうです。

二十九番の巡礼札所に「根際観音堂」が挙げられています。

齋藤家の観音堂の前には独自の御詠歌が掲げられており、このことから、齋藤家観音堂が谷地三十三観音の一つではないか、と考えておりました。

昭和55年3月25日発行の町報「かほく」に 町誌編纂委員 浅黄三治さんが「ふるさと散歩 その33 観音信仰と講 ー根際に残る習俗ー」という記事を載せていました。

この記事によると、谷地三十三観音の根際観音とは齋藤家観音堂ではなく、渡部庄蔵さんが別当を務める「子安観音」のようです。

根際地区は上・下の2つに別れ、子安観音は根際下地区にあります。

医療が未発達な時代、女性が安産を祈願してこの観音堂を訪れたのでしょうか。

また根際観音堂の御詠歌は

ねぎわより つみとがきえて
 みほとけの うまるる
みはうれしけり


なのだそうです。

齋藤家観音堂の御詠歌とはちがいます。

齋藤家観音堂御詠歌

齋藤家観音堂の御詠歌

なお、谷地三十三観音は次のとおりです。


  1 大町観音堂
  2 大町長延寺
 3 松橋慈眼寺
 4 桜町地蔵堂
 5 新町長谷寺
 6 南小路内城庵
 7 南小路誓願寺
 8 袖屋敷地蔵堂
 9 西小路薬師堂
10 下小路地蔵堂
11 北口地蔵堂
12 勝木沢地蔵堂
13 宇佐美小路大日堂
14 西小路地蔵堂
15 内館三社宮
16 内館二十三夜堂
17 内館定林寺
18 前小路宿用院
19 前小路東林寺
20 長表西蔵寺
21 東町地蔵堂
22 荒町不動堂
23 高関高林寺
24 西里永昌寺
25 日和田清水寺
26 慈恩寺弥勒堂
27 慈恩寺地蔵堂
28 両所真光寺
29 根際観音堂

30 沢畑観音堂
31 沢畑金谷庵
32 弥勒寺弥勒院
33 岩木観音堂

番外

  岩木岩性寺
  吉田青龍寺

最上三十三観音とはことなり、「観世音菩薩(観音様)」だけではなく、地蔵菩薩(お地蔵様)や寺院なども含まれているのがわかります。

参考資料

  • 昭和55年3月25日発行の「町報かほく ふるさと散歩 その33 観音信仰と講 ー根際に残る習俗ー」町誌編纂委員 浅黄三治
  • 河北町の歴史 上巻 河北町

 

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